さむくてさむくて 凍えそう
手を伸ばして すぐに引っ込めたのは
寒かったからだけじゃなくて
怖かったから
触れると氷はすぐに溶けてしまうし
あなたはどこかへ行ってしまう
下がった体温で
記憶できない頭で
幸せな毎日の中に落ちている 寂しいを拾い集めて
凍った土の中に埋めた
一日中 氷点下の日
あわただしい冬の日々を過ごして 足を止めると ふと 喉と耳の奥を 小さな針で突いたような痛み
目の奥がこそばゆくって
ベッドに入って少しだけ泣いた後
ふかく ふかく どこまでも ふかく もぐって しずかに しずかに しずかに 眠るために
のみこむ 小さな 白い 光の粒
あっという間にすぎていって
いつのまにかいなくなって
いつのまにかあらわれて
さみしいとかって泣いてみても
きっときっとすぐにいなくなって
通り過ぎて
またあらわれる
ふいに扉を閉めたくなった
ひとりぼっちはさみしいくせに
20日が過ぎて24日がおわって25日。
これでいいんだって 笑いながら
でも どこかで 笑えずに
急に晴れたり曇ったり
風がふいて落ち葉が舞って
もうすぐ冬
さむいかな さむくないかな
すこしだけ その一瞬だけ あたたかでありますように
夜になると寂しくなって
虚しくなって
体の中の黒い塊を吐き出す
ほんの少しだけ死にたくなって
窓を開けて
外の空気を吸う
白い煙は甘く
黒い空はヒンヤリと静かに
空の果てまで散った星はいつまでも光る
隠れても墜ちても照らされて
月が綺麗で
あまりにも綺麗で息が苦しいほど
暗い製氷室の中でコトリと響く小さな月は
口から喉を通って身体に堕ちる
透明な綺麗な冷たい 月みたいな氷
流されて 凪がされて
透明な水に緑色の風に
それも正解で これも正解で
それはちがって これもちがって
人の言葉を聞くと簡単に同調しがちで
自分の考えが薄まりがち
体の奥の奥にある一本の細い糸以外は
揺れて流れて許して
流されることに抗わず
抗わないことを軸として。